炊飯器は、一度購入したら5年、10年と使い続けたい家電の一つです。特に、象印の「黒まる厚釜」のような高性能な内釜を採用しているモデルであれば、その美味しいご飯の味をできるだけ長くキープしたいと誰もが思うはずです。
しかし、意外と知られていないのが「内釜の正しい洗い方」です。
・面倒だから食洗機に入れている
もし、このような使い方をしているとしたら、知らないうちに内釜の寿命を縮めているかもしれません。内釜のコーティング(フッ素加工)は非常にデリケートで、間違った手入れを続けると、剥がれや焦げ付きの原因になります。
この記事では、黒まる厚釜を傷つけずに長く使い続けるための「正しい洗い方」と、絶対に避けるべき「NG行動」について、プロ視点で徹底的に深掘りして解説します。
なお、そもそも「黒まる厚釜」がなぜ耐久性に優れ、ご飯を美味しく炊けるのか、その構造や秘密については以下の記事で詳しく解説しています。まずはこちらをチェックして、そのポテンシャルの高さを知っておきましょう。

公式で認められている「内釜洗米」の正しいやり方
象印の黒まる厚釜の大きなメリットの一つが、「内釜でお米が研げる」という点です。
昔の炊飯器や一部の土鍋釜では「内釜で洗米禁止(コーティングが剥がれるため)」とされていましたが、黒まる厚釜は非常に耐久性が高いため、ボウルやザルを使わずに、釜の中で直接お米を研ぐことが公式に推奨されています。
まずは、コーティングを傷つけないための「正しい洗米マナー」を確認しましょう。
指輪やネイルなどの硬いものに注意
お米を研ぐ際、手元に貴金属をつけていませんか?
指輪(特にダイヤモンドなどの石がついたもの)をしたままガシャガシャとお米を研ぐと、釜の内側に微細なひっかき傷をつけてしまいます。また、長く伸ばしたネイルアートや、装飾のついたネイルも同様です。
内釜洗米をする際は、必ず指輪を外すか、あるいは「泡立て器のような洗米グッズ」を使わないように気をつけましょう。金属製の泡立て器で研ぐのは言語道断ですが、シリコン製であっても強く押し付けると摩耗の原因になります。基本は「素手で優しく」です。
ザルを使って水を切るのはNG?
「内釜で研いで、水切りだけザルを使う」という方もいるかもしれません。しかし、金属製のザルを内釜のフチに叩きつけたり、ザルの底で内釜の内側を擦ったりすると、当然ながら傷がつきます。
黒まる厚釜で洗米するなら、水切りも手で行うか、内釜に優しいプラスチック製の水切りパーツなどを使用するのが無難です。
寿命を縮める「絶対NG」な洗い方・行動5選
ここからは、多くの人が「良かれと思って」、あるいは「知らずに」やってしまっている、内釜の寿命を一気に縮めるNG行動を紹介します。これらを避けるだけで、炊飯器の持ちは劇的に変わります。
もし、すでにコーティングが剥がれてしまっている場合は要注意。そのまま使い続けても健康に害はないのか、無償交換の対象になるのかを解説しました。

1. 食洗機・食器乾燥機の使用(最大の敵)
最もやってはいけないのが、食洗機(食器洗い乾燥機)で内釜を洗うことです。
「耐熱温度が高いから大丈夫でしょ?」と思うかもしれませんが、問題は熱だけではありません。食洗機専用の洗剤に含まれる成分が致命的です。
食洗機用の洗剤は、油汚れを強力に落とすために「アルカリ性」であることが多いです。また、高圧の熱湯を噴射します。 フッ素樹脂(コーティング)は、アルカリや急激な温度変化、そして水流に含まれる微細な粒子との衝突に弱く、食洗機に入れてしまうとコーティングが急速に劣化し、剥がれ落ちてしまいます。
さらに、釜の外側の塗装や、プラスチック部分(取っ手など)の変色・変形の原因にもなります。どれだけ面倒でも、内釜だけは必ず手洗いを徹底してください。
2. スポンジの「硬い面」で洗う
台所用スポンジの多くは、柔らかいウレタン面と、硬い不織布面(緑色や茶色の面)の2層構造になっています。
こびりついたご飯粒を落とそうとして、この「硬い面(不織布面)」でゴシゴシ擦っていませんか?
これは、内釜を紙やすりで削っているのと同じ行為です。
硬い不織布面には「研磨粒子(研磨剤)」が含まれていることが多く、これで擦るとフッ素加工の表面に目に見えない無数の傷がつきます。そこから焦げ付きが発生しやすくなります。 必ず「柔らかいスポンジ面」を使って洗うようにしましょう。
3. 内釜を「洗い桶」代わりにして食器をつけ置く
食事が終わった後、空になった内釜の中に水と洗剤を入れ、その中に汚れたお茶碗やお箸、フォークなどを放り込んで「つけ置き」をしていませんか?
これをやると、内釜の中で食器同士がぶつかり合い、カチャカチャと音を立てるたびにコーティングが傷ついていきます。特に、フォークやナイフなどの鋭利な金属、陶器の底(ザラザラした部分)が内釜に当たると致命的です。
4. お酢や塩分の長時間放置
炊き込みご飯や、酢飯(すし飯)を内釜で作ること自体は問題ありません。しかし、作った後に「保温したまま長時間放置」したり、「冷めるまでそのままにしておく」のは危険です。
お酢(酸)や塩分は、金属やコーティングを腐食させる性質を持っています。長時間触れさせておくと、フッ素加工の劣化を早める原因になります。
調味料を使ったご飯を炊いた場合は、保温を切ったらすぐにタッパーやおひつに移し替え、内釜を早めに洗うことが鉄則です。
5. アツアツの釜に冷水をかける(ヒートショック)
炊飯直後や、保温を切った直後の内釜は非常に高温になっています。そこへいきなり水道の冷たい水をジャーッとかけていませんか?
急激な温度変化を与えると、金属である釜の基材(アルミや鉄)と、表面のフッ素コーティングの収縮率の違いにより、コーティングが浮いたり剥がれたりする原因になります。
洗う時は、釜が手で触れるくらいまで冷めてから水につけるか、ぬるま湯を使って洗うのがベストです。
黒まる厚釜を洗う時の正しい手順と道具選び
それでは、具体的にどのような道具を使って、どのように洗えば良いのでしょうか。毎日の習慣にしたい「正解」の手順を紹介します。
洗剤は「台所用中性洗剤」一択
洗剤選びも重要です。クレンザー(研磨剤入り洗剤)、漂白剤、酸性・アルカリ性の強い洗剤は使用しないでください。
必ず、一般的な「台所用中性洗剤」を使用します。ラベルの裏を見て「液性:中性」と書かれていることを確認しましょう。
こびりついたご飯は「ぬるま湯」でふやかす
ご飯が乾燥してカピカピにこびりついてしまった時は、決して爪や硬いスポンジで無理やり剥がそうとしてはいけません。
内釜にぬるま湯を張り、10分〜20分ほど放置してください。デンプンがふやけて柔らかくなれば、柔らかいスポンジで撫でるだけでスルッと落ちます。フッ素加工が効いている黒まる厚釜なら、つけ置きだけで汚れの大半は浮き上がります。
外側の水滴もしっかり拭き取る
内側を綺麗に洗った後、濡れたまま炊飯器本体にセットしていませんか?
内釜の「外側」や「底面」についた水滴は、必ず乾いた布で拭き取ってからセットしてください。濡れたままセットして炊飯すると、本体側の温度センサーやヒーター部分に水が触れ、故障や焦げ付き、異常な音の原因になります。
特に、底面の温度センサーは炊飯の命です。ここが汚れていると火加減が狂ってしまうので、常に清潔で乾いた状態を保ちましょう。
内釜以外の「見落としがち」なメンテナンス
美味しいご飯を炊くためには、内釜だけでなく、炊飯器全体のメンテナンスも欠かせません。ついついサボりがちなポイントもチェックしておきましょう。
内ぶたと蒸気口は「毎回」洗う
「内ぶた」は毎回外して洗っていますか? 内ぶたには、炊飯時のデンプン質を含んだ蒸気が付着しています。これを放置すると、雑菌が繁殖して嫌なニオイの原因になったり、蒸気の通り道(調圧弁など)が詰まって、吹きこぼれや炊き上がりの不良を引き起こしたりします。
黒まる厚釜を採用している象印の機種は、内ぶたが簡単に取り外せる構造になっているものがほとんどです。面倒くさがらずに、毎回サッと水洗いしましょう。
本体の吸気口・排気口のホコリ取り
炊飯器の底面や背面には、ファンで熱を逃がすための「吸気口」や「排気口」があります。ここがホコリで詰まると、内部の温度が上がりすぎて故障したり、安全装置が働いて止まってしまったりすることがあります。
月に1回程度で良いので、掃除機でホコリを吸い取るか、乾いた布で拭き取るようにしましょう。
まとめ:正しい手入れで美味しさは何倍も長持ちする
象印の黒まる厚釜は、非常に完成度の高い内釜です。正しい手入れさえしていれば、何年もの間、新品同様の美味しいご飯を炊き続けてくれます。
もし、「あ、これやってしまっていた!」という項目があれば、今日から改めてみてください。道具を大切に扱うことは、毎日の食事を大切にすることに繋がります。
少しの手間で、象印の炊飯器は最高のパフォーマンスで応えてくれるはずです。


