お風呂やトイレ、あるいは急な雨でスマートフォンを濡らしてしまい、「音がおかしい」「ジジジというノイズが走る」といった症状に焦っていませんか?
水没はスマホにとって致命的なトラブルですが、スピーカーの違和感だけであれば、正しい初動対応を行うことで復活できる可能性が十分にあります。
しかし、慌てて「やってはいけない行動」をとってしまうと、スピーカーだけでなくスマホの基盤そのものをショートさせ、完全に故障させてしまうリスクがあります。
この記事では、水没によりスピーカーの音が変になった際の正しい緊急対処法と乾燥手順、そして絶対にやってはいけないNG行動について詳しく解説します。
スマホの音割れ・こもりは「水が残っている」サイン
水没直後にスピーカーから「音がこもる」「音が小さい」「音が割れる」といった症状が出る場合、その原因のほとんどはスピーカーのメッシュ(網目)部分や振動板に水滴が付着・残留していることにあります。
スピーカーは空気を振動させて音を出しますが、水が入り込むことでその振動が妨げられたり、水膜が蓋をしてしまったりするため、正常な音が出なくなります。
この段階ではまだ「故障」しているとは限りません。物理的に水が邪魔をしているだけの状態であれば、適切に水を排出し、乾燥させることで元のクリアな音質に戻るケースが多くあります。
ただし、放置すると内部の金属部品が腐食(サビ)し、永続的な故障につながるため、「今のうちに水を出し切ること」が最優先課題となります。
【手順1】周波数(音)を使って水を排出する
物理的にスマホを振る前に(※強く振るのはNGです)、まずは「音の振動」を使ってスピーカー内部の水を外へ押し出す方法を試しましょう。iPhoneやAndroidには、特定の周波数を流して水を弾き飛ばすアプリや動画が存在します。
YouTubeの「水抜き音」を活用する
アプリをインストールする時間がない場合、YouTubeで「Water Ejection」や「スマホ 水抜き」と検索してください。
特に重低音や高周波のブザー音のような動画がヒットします。これを最大音量で再生することで、スピーカーの振動板が激しく動き、メッシュの隙間に入り込んだ水を外へ弾き飛ばすことができます。
この方法は、Apple Watchの防水ロック解除時に行われる排水機能と同じ原理です。数回繰り返して、水滴が出てこなくなるまで行いましょう。
水抜き専用アプリを使用する
頻繁に水回りで使用する方は、専用アプリを入れておくのも手です。
iPhoneの場合:「Sonic」などの周波数生成アプリ Androidの場合:「Speaker Cleaner」などの清掃アプリ
これらは「165Hz」など、排水に効果的な周波数をピンポイントで再生できるため、動画サイトを探す手間が省けます。
【手順2】スピーカーを復活させる正しい乾燥手順
音による排水である程度の水を出した後は、内部に残った湿気を完全に取り除く「乾燥」のフェーズに入ります。ここでの丁寧さが、後のサビや腐食を防ぎます。
1. 表面の水分を完全に拭き取る
まずはメガネ拭きや糸くずの出ない柔らかい布で、スマホ全体の水分を拭き取ります。 イヤホンジャックや充電ポートの中も、こよりにしたティッシュなどで優しく水分を吸い取りましょう(※奥まで突っ込みすぎないよう注意してください)。
2. SIMカード・SDカードを抜く
内部の空気の通り道を確保するため、SIMカードトレーやSDカードスロットを開け、カード類を取り出してください。 トレーを開けることで内部の乾燥がわずかに早まるだけでなく、重要なデータが入っているカードの腐食を防ぐことができます。
3. スピーカーを下にして立てかける
スマホを平置きにするのではなく、スピーカーがある方を下に向けて、壁などに立てかけて乾燥させます。重力に従って、水分が下(外)へ落ちていくのを促すためです。
4. 乾燥剤(シリカゲル)と一緒に密閉する
自然乾燥よりも確実なのが、乾燥剤を使った方法です。
お米の中に埋めるという民間療法も有名ですが、お米の細かい粉が充電ポートやスピーカーに入り込むリスクがあるため、専用の乾燥剤(シリカゲル)の使用を強くおすすめします。
故障を悪化させる!絶対にやってはいけない4つのNG行動
焦っているとついついやってしまいがちな行動ですが、以下の4つは「トドメを刺す」行為になりかねません。
NG1:ドライヤーの「熱風」で乾かす
「早く乾かしたい」一心でドライヤーの熱風を当てるのは厳禁です。 スマホは精密機器であり、熱に非常に弱いです。熱風を当てると、防水用の接着剤(シール)が溶けて防水性能が失われたり、バッテリーが熱暴走を起こしたり、基盤が変形して完全に壊れる原因になります。
NG2:スマホを激しく振る
「中の水を振り払いたい」と思ってスマホをブンブン振るのは逆効果です。 遠心力によって、まだ濡れていなかった奥のパーツまで水が移動してしまい、被害範囲が拡大する恐れがあります。
NG3:充電ケーブルを挿す
これが最も危険な行為です。 水に濡れた状態で電気を流すと、充電ポートや内部基盤でショート(短絡)が発生し、一発で再起不能になります。 「電源が入るかな?」と確認したくなる気持ちは分かりますが、完全に乾燥するまでは絶対に充電器に繋がないでください。
NG4:電源を何度もオンオフする
水没直後は、電源が入っていたとしてもすぐに「電源オフ」にしてください。 通電していること自体がショートのリスクを高めます。画面がついたり消えたりする動作確認は、乾燥が完了するまで我慢しましょう。
水没マーク(LDI)を確認して深刻度をチェック
「しっかり乾かしたつもりだけど、本当に大丈夫かな?」と不安な場合、スマホに備わっている「水没マーク(液体侵入インジケータ)」を確認しましょう。
もし、このマークが赤くなっている場合は、内部まで水が浸透している証拠です。現在は動いていても、内部で腐食が進行して突然動かなくなる可能性があります。 このマークが変色している状態で音の不調が続くなら、自然治癒は難しいと考えられます。
乾燥させても「音がおかしい」場合の対処法
24時間以上の乾燥と、水抜きアプリを試しても症状が改善しない場合、以下の可能性が考えられます。
・スピーカー部品自体の故障 ・内部基盤の腐食による信号異常 ・スピーカーメッシュへの不純物(泥やカルキなど)の詰まり
この段階まで来ると、ユーザー自身での修復は困難です。
修理に出すか、買い替えるか
水没による故障は、メーカー保証の対象外(有料修理)になることがほとんどです。AppleCare+やキャリアの補償サービスに入っていない場合、修理代金が高額になるケースがあります。
・補償に入っている場合:迷わず修理・交換サービスを利用しましょう。 ・補償なし・旧機種の場合:修理代が数万円かかることもあるため、これを機に機種変更を検討するのも賢い選択です。
まとめ:音の異常はスマホからのSOS
スマホの水没による音割れやノイズは、スピーカーからの「水が残っている」というSOSです。
2、音(周波数)で水を追い出す
3、乾燥剤と共に密閉して徹底的に乾かす
この手順を冷静に行うことで、スピーカーが復活する確率はぐっと上がります。焦ってドライヤーを使ったり充電したりせず、正しいケアで愛機を守りましょう。



