シャープの空気清浄機を購入する際、多くの人が「本体価格」や「フィルターの寿命(10年)」には注目しますが、意外と見落としがちなのがプラズマクラスター発生ユニットの寿命です。
そう思っていると、購入から数年後に突然赤いランプが点滅し、思わぬ出費に驚くことになります。
・交換しないとどうなるのか?
・そもそも、すべての機種で交換が必要なのか?
結論から言えば、プラズマクラスターには明確な寿命があり、多くの高性能モデルでは定期的な部品交換(課金)が必須となります。
本記事では、カタログの隅に小さく書かれている「維持費の真実」について、機種ごとの違いやコスト試算を含めて包み隠さず解説します。
なお、そもそも「プラズマクラスターって本当に効果があるの?」という根本的な疑問をお持ちの方は、以下の記事で科学的根拠について深掘りしていますので、先にそちらをご覧ください。
衝撃の事実:プラズマクラスターの効果は「有限」である
まず大前提として知っておくべきなのは、プラズマクラスターという技術は「一度買えば永久に出続けるもの」ではないということです。
✔プラズマクラスターは、発生ユニットの電極に高電圧をかけ、放電することでイオンを作り出します。
✔この「放電」というプロセスを繰り返すことで、電極(針)が徐々に摩耗し、イオンの発生量が減っていきます。
電球がいずれ切れるのと同じように、プラズマクラスター発生ユニットもまた、消耗品なのです。
しかし、ここでややこしいのが、「交換が必要な機種」と「不要な機種」が存在するという点です。ここを理解していないと、「安いから」と買った機種が実はコスパが悪かったり、逆に「高い機種」を買ったのに維持費がかさんだりといったミスマッチが起きてしまいます。
「交換が必要な機種」の寿命とタイムリミット
現在販売されているシャープの空気清浄機のうち、「プラズマクラスター25000」や「プラズマクラスターNEXT」を搭載した中〜上位モデルは、基本的にユニット交換式です。
これらの機種には、厳格な「タイムリミット」が設定されています。
1. 約17,500時間経過時
本体の「ユニット交換ランプ」が点滅し始めます。
これは「そろそろ寿命ですよ」という予備警告です。
2. 約19,000時間経過時
プラズマクラスターイオンの発生が完全に停止します。
この段階になると、ユニットを新品に交換しない限り、イオン機能は一切使えなくなります。
24時間つけっぱなしだと「約2年」で寿命
「19,000時間」と言われてもピンとこないかもしれませんが、これを日数に換算すると以下のようになります。
| 1日24時間運転 | 約2年2ヶ月 |
| 1日12時間運転 | 約4年4ヶ月 |
| 1日8時間運転 | 約6年6ヶ月 |
空気清浄機は「24時間つけっぱなし」が推奨される家電です。つまり、真面目に24時間稼働させている家庭では、約2年ごとに確実に交換時期がやってくるということになります。
交換不要? 「プラズマクラスター7000」の真実
一方で、エントリーモデルや薄型モデルに多く搭載されている「プラズマクラスター7000」の機種はどうでしょうか。
実は、多くの7000搭載モデルは、ユニット交換が不要(または不可)な設計になっています。
そう思うかもしれませんが、これにはカラクリがあります。
- 交換ユニットがない:
部品として独立していないため、ユーザーが交換することができません。
- 寿命がないわけではない:
電極は同様に摩耗します。しかし、7000はもともとのイオン濃度が低く、放電パワーも控えめなため、劣化スピードが比較的緩やかです。
- 本体寿命=ユニット寿命:
メーカーとしては「製品としての耐用年数(空気清浄機として使える期間)まではイオンが出る」という設計思想です。
つまり、「交換しなくていい」というのはメリットですが、裏を返せば「古くなってイオンが出なくなっても、リフレッシュする手段がない(本体ごと買い替えになる)」ということでもあります。
「交換不要な7000」と「交換が必要な25000/NEXT」では、性能にどれほどの差があるのでしょうか? 濃度別の性能差についてはこちらをご覧ください。

いくらかかる? ユニット交換費用とランニングコスト
では、実際に交換が必要な機種(25000/NEXT)を購入した場合、どれくらいの維持費がかかるのでしょうか。
交換用ユニットの価格相場
機種によって対応するユニット型番は異なりますが、一般的な家庭用モデル(IZ-C90MやIZ-C75Sなど)の場合、価格は以下の通りです。
約3,000円 〜 6,000円(税込)
これを高いと見るか安いと見るかですが、2年に1回交換すると仮定した場合、1ヶ月あたりのコストは約125円〜250円程度です。
フィルター代との「ダブルパンチ」に注意
ここで忘れてはいけないのが、空気清浄機にはもう一つの消耗品、「フィルター」があることです。
シャープのHEPAフィルターは「10年交換不要」を謳っていますが、これはあくまで「日本電機工業会の規格(1日にタバコ5本を吸った場合)」に基づく目安です。
キッチンに近い場所で使用して油煙を吸ったり、ペットがいる環境だったりすると、数年でニオイが取れなくなり、フィルター交換が必要になるケースも多々あります。
購入から4〜5年後…
・ユニット交換(2回目):約3,000円
・集じんフィルター交換:約4,000円
・脱臭フィルター交換:約4,000円
合計:1万円オーバーの出費!
本体価格が安くても、長く使うと維持費が本体価格を超えてしまうこともあり得ます。購入時には「ユニット交換が必要な機種か?」を必ず確認しましょう。
ユニット寿命を縮めないためのメンテナンス方法
2年に1回の出費は避けられない運命(さだめ)ですが、日々のメンテナンスを怠ると、規定の寿命よりも早くエラーが出たり、イオンの効果が感じられなくなったりすることがあります。
特に重要なのが「電極部分の清掃」です。
「ジージー」音は汚れのサイン
空気清浄機から、時々「ジージー」「チチチ」といった微細な音が聞こえることはありませんか? これは故障ではなく、放電音です。しかし、この音が大きくなったり、不規則になったりしている場合は、電極針にホコリや汚れが付着している可能性があります。
電極に汚れがつくと、正常な放電ができず、イオン発生量が低下します。
正しいお手入れ手順
多くの機種には、本体内部に「ユニット清掃ブラシ」が付属しています(タンクの裏やフィルターの奥などに収納されています)。
1. 電源を切る
感電防止のため、必ず電源プラグを抜いてください。
2. ユニットを取り出す
ロックを解除してユニットを引き抜きます。
3. ブラシでこする
付属ブラシを使って、電極部分(針の先端)の周りについたホコリや白い付着物を優しく取り除きます。
頻度目安
6ヶ月に1回程度、または「ジージー」音が気になった時。
ユニット交換ランプが点灯しても無視したらどうなる?
「お金がもったいないから、ランプがついたまま使い続けよう」と考える人もいるかもしれません。
しかし、約19,000時間を超えて強制停止状態になると、プラズマクラスター機能は完全にシャットダウンします。
この状態でも、空気清浄機の「ファン」は回りますし、HEPAフィルターによる「ホコリ・花粉の除去」機能は働きます。
- できること:ホコリ除去、花粉除去、PM2.5対策(フィルター性能に依存)
- できないこと:浮遊ウイルスの不活化、静電気除去、付着臭の消臭、美肌効果
つまり、「ただの風が出るフィルター付きの箱」になってしまうわけです。 特に、親記事で紹介したような「ウイルス対策」や「静電気除去」を期待して購入したのであれば、ユニット交換をケチるのは本末転倒と言えるでしょう。
まとめ:維持費は「性能への投資」と割り切ろう
プラズマクラスター搭載機の寿命と維持費について解説してきました。
- 高性能モデル(25000/NEXT)には約2年(24時間使用時)の明確な寿命がある。
- 交換時期が来るとイオンは停止するが、フィルターによる空気清浄機能は使える。
- エントリーモデル(7000)は交換不要だが、性能が落ちても復活できない。
- 維持費は月額換算で100円〜200円程度。「新鮮なイオン」を買うコストと考えよう。
維持費がかかることはデメリットに感じられますが、見方を変えれば「数千円のパーツ交換だけで、心臓部を新品にリフレッシュできる」というメリットでもあります。
空気清浄機は、目に見えない空気と戦う家電です。だからこそ、常にベストなコンディションを維持して、家族の健康を守れる環境を整えておきたいですね。
ランプが点滅し始めたら、それは「今までお疲れ様」の合図ではなく、「心臓部を新しくして、また頑張ります」というマシンからのメッセージです。早めの交換をおすすめします。




