コストコやスーパーで大人気の「プレスンシール」。驚異的な密着力で食品保存の革命児とも呼ばれていますが、いざ温める段になってこう思ったことはありませんか?
・なんかラップよりもフニャフニャしてるけど、溶けない?
実は、SNSや口コミサイトでは「電子レンジで温めたら食材に溶けて張り付いた」「変な匂いがした」といった失敗談が後を絶ちません。
結論から言うと、プレスンシールは電子レンジ使用が可能ですが、日本の一般的なラップと同じ感覚で使うと失敗します。
この記事では、プレスンシールを溶かさずに電子レンジで使うための正しい手順と、絶対に知っておくべき「耐熱温度の真実」を徹底解説します。
もし、
・身体に害はないの?
という根本的な安全性や成分について詳しく知りたい方は、まずはこちらの親記事で成分分析の結果をご確認ください。
▼プレスンシールの成分と安全性に関する詳細はこちら

それでは、電子レンジでの失敗しない使い方について深掘りしていきましょう。
プレスンシールの耐熱温度は「100℃」!これが全ての答え
なぜプレスンシールは電子レンジで失敗しやすいのでしょうか。その最大の原因は、耐熱温度の違いにあります。
日本で一般的に使われているクレラップやサランラップ(ポリ塩化ビニリデン製)の耐熱温度は約「140℃」です。これに対し、プレスンシール(ポリエチレン製)の耐熱温度は「100℃」。
この「40℃の差」が、キッチンの悲劇を生むのです。
100℃の壁はあっという間に超えてしまう
「100℃まで耐えられるなら、お湯が沸騰するくらいだし大丈夫では?」と思うかもしれません。しかし、電子レンジの加熱原理を思い出してください。
特に注意が必要なのが、「油分」と「糖分」を含んだ食品です。
カレー、シチュー、唐揚げ、ハンバーグ、肉じゃがなどの油分を含む料理は、電子レンジで加熱すると一瞬で100℃を超え、140℃〜160℃近くまで上昇することがあります。
つまり、これらの料理にプレスンシールを直接触れさせてチンすると、確実に溶けます。
うっかり加熱しすぎて、溶けた青い粘着剤がお皿やお肉にこびりついてしまった! 洗剤でゴシゴシ洗うのはちょっと待って。 力を使わずに、その頑固な汚れを『スルッ』と落とす救済テクニックがあります。

比較でわかる!プレスンシールと他社ラップの使い分け
失敗を防ぐためには、「保存はプレスンシール」「高温加熱は他社ラップ」という使い分けが重要です。
わかりやすく耐熱性能を比較してみましょう。
1. プレスンシール(ポリエチレン)
耐熱温度:100℃ 得意:冷蔵・冷凍保存、常温保存、液体の密閉 苦手:油物の加熱、長時間のレンジ加熱
2. 一般的な高機能ラップ(ポリ塩化ビニリデン)
耐熱温度:140℃ 得意:熱々の料理の加熱、油物の温め 苦手:コップなどの密閉(剥がれやすい)
3. シリコンラップ(シリコーンゴム)
耐熱温度:180℃〜200℃以上 得意:繰り返しの加熱、高温調理 苦手:密閉保存(ニオイ漏れしやすい)
このように、プレスンシールは「熱に弱い」という特性を理解した上で使う必要があります。
絶対に失敗しない!プレスンシールの正しい温め方3選
では、プレスンシールをしたまま温めたい場合はどうすれば良いのでしょうか?溶かさずに安全に解凍・加熱するための3つの鉄則をご紹介します。
1. 「ふんわり」ではなく「深めの容器」を使う
もっとも重要なのは、食材とプレスンシールを接触させないことです。
お皿ギリギリまで盛った料理にプレスンシールをして温めると、接触面から溶け出します。底の深いボウルやタッパーなどを使い、食材の上部に十分な空間(2〜3cm以上)を空けてシールしてください。
2. 蒸気の逃げ道(通気口)を必ず作る
プレスンシールの最大の武器である「密閉力」が、電子レンジでは仇となります。
完全に密閉したまま加熱すると、内部の蒸気で容器が膨張し、「ボンッ!」と破裂するか、負圧で容器がベコベコに凹んでしまうことがあります。
加熱する際は、端を1〜2cmほど剥がして蒸気の逃げ道を作ってください。もしくは、フォークでプツプツと小さな穴を開けておくのも有効です。
3. 「解凍モード」または「500W以下の短時間」で
冷凍したご飯やお肉を解凍する場合、いきなり600Wや1000Wで加熱するのはNGです。急激な温度上昇により、一部分だけが100℃を超えてフィルムが溶ける原因になります。
・解凍モード(100W〜200W相当)を使う ・500Wで様子を見ながら30秒ずつ加熱する
このひと手間で、フィルムの溶解リスクを劇的に減らすことができます。
もし溶けて食べてしまったら?安全性について
どれだけ気をつけていても、「うっかり高温で加熱して、ラップが溶けて食材に混ざってしまった」ということがあるかもしれません。
誤って口にしてしまった場合、パニックになる必要はありません。
プレスンシールの主成分であるポリエチレンや、使用されている接着成分は、基本的に体内で吸収されずに排出されると言われています。FDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を受けている製品ですので、少量であれば直ちに健康被害が出る可能性は低いと考えられます。
ただし、溶けたプラスチックを食べるのは気分の良いものではありませんし、喉に詰まる物理的なリスクもあります。
「具体的にどんな成分が使われているのか」 「環境ホルモンなどの心配はないのか」
といった、より専門的な安全性のエビデンスについては、冒頭でも紹介した親記事で詳しく解説しています。お子様がいるご家庭などは、ぜひ一度目を通しておくことをお勧めします。プレスンシールの成分リスクと安全対策の完全ガイド
まとめ:プレスンシールは「保存の王様」、レンジは「要注意」
レンジ加熱には少しコツが必要ですが、『冷凍保存』に関してはプレスンシールの右に出るものはありません。 レンジでの失敗を防ぐ知識がついた今こそ、食材を長持ちさせる最強の『真空パック風』保存術をマスターしましょう。

プレスンシールは決して電子レンジNGではありませんが、「耐熱温度100℃」のルールを厳守する必要があります。
・油分や糖分の多い料理には使わない ・食材に直接触れさせない ・加熱時は蒸気の逃げ道を作る
この3点を守れば、溶けるトラブルは防げます。
「温める料理」には耐熱温度の高い日本のラップを、「保存する料理」には密閉力の高いプレスンシールを。この「使い分け」こそが、キッチンマスターへの近道です。正しく使って、便利で安全なプレスンシールライフを送りましょう。



