なぜ安い？青森県産まっしぐらの激安の秘密と『業務用』としてプロに愛される実力を調査

青森県産のお米「まっしぐら」。スーパーやネット通販で見かけるその価格は、他の銘柄米に比べて明らかに「安い」と感じたことはないでしょうか？

「安かろう悪かろう」という言葉がある通り、あまりに激安だと「品質に問題があるのでは？」「味が劣るのでは？」と不安になる消費者心理も働きます。

しかし、結論から言えば、まっしぐらの安さには「ネガティブな理由」は一切ありません。そこには、品種改良の努力による「圧倒的な生産効率」と、プロの料理人が認める「実用的な機能性」が隠されています。

今回は、なぜ青森県産まっしぐらがこれほどまでにリーズナブルなのか、その秘密と業務用として愛される実力を徹底調査しました。

（親記事）青森県産のまっしぐら米は本当にまずいのか？批判を検証し真実を解き明かしてみた！

なぜ安い？青森県産「まっしぐら」の激安の秘密

「まっしぐら」が市場で安価に流通している最大の理由は、食味が悪いからではなく、農家にとって「作りやすく、多く獲れる」という品種特性にあります。

稲作農家にとって最大の敵の一つが「いもち病」です。この病気に弱い品種は、農薬の使用回数が増えたり、管理に膨大な手間がかかったりします。

しかし、まっしぐらは開発段階からこの病気に対する強い「抵抗性」を持つように改良されました。その結果、薬剤散布のコストや労働力を削減することが可能となり、それが最終的な販売価格の「安さ」へと還元されているのです。

美味しいお米の代名詞であるコシヒカリなどは、稲が背高く育つため、台風や強風で倒れやすいという弱点があります。稲が倒れると収穫作業が困難になり、品質も低下します。

一方、まっしぐらは稲の背丈が適度に低く、茎が太くて丈夫なため「倒伏（とうふく）」しにくいという特徴があります。これにより、機械による効率的な刈り取りが可能であり、単位面積あたりの「収穫量（収量）が多い」のです。

同じ面積の田んぼから多くのお米が獲れれば、当然1キロあたりの単価は下がります。これが激安の正体です。

スーパーで「業務用米」や「ブレンド米」として販売されているお米の袋の裏を見ると、原材料に「青森県産まっしぐら」の文字を見つけることがよくあります。

なぜ、外食産業やコンビニ、弁当屋などのプロの現場は、高級ブランド米ではなく「まっしぐら」を選ぶのでしょうか？

日本の一般家庭では「粘り・甘み・モチモチ感」の強いお米（コシヒカリやあきたこまち等）が好まれますが、外食産業ではこれが逆効果になることがあります。粘りが強すぎるお米は、牛丼のつゆやカレーのルーを吸いすぎると「ベチャベチャ」になってしまい、食感を損なうからです。

まっしぐらは、粘り気が少なく「粒立ちがしっかりしている」のが最大の特徴です。

このように、汁気や油を使う料理において、まっしぐらは高級米以上の「パフォーマンス」を発揮します。これがプロに選ばれる理由です。

お弁当やおにぎりとして販売する場合、炊きたてではなく「冷めた状態」で消費者の口に入ります。

まっしぐらは、適度な硬さと弾力を持っているため、冷めても米同士がくっついて団子状になりにくく、一粒一粒の食感を楽しめます。コンビニのおにぎりやスーパーの弁当に採用されることが多いのは、この「冷めても美味しい」という実用性が高く評価されているからです。

激安で手に入り、家計の強い味方となるまっしぐらですが、コシヒカリと同じように炊くと「硬い」「パサつく」と感じる場合があります。しかし、以下の点に気をつければ、家庭でも最高に美味しくいただけます。

粒がしっかりしている分、中心まで水を吸わせるのに少し時間がかかります。夏場なら30分、冬場なら1時間程度、しっかりと「吸水（浸水）」させてから炊飯スイッチを押してください。これだけで、ふっくらとした炊き上がりになります。

白米そのものを味わう「塩むすび」や「刺身定食」などの場合は、水をほんの少し多めにして炊くのがおすすめです。

逆に、カレーやチャーハン、丼ものを作る日は、目盛り通りの水加減で炊くことで、まっしぐらの真骨頂である「シャッキリ食感」を楽しむことができます。

青森県産まっしぐらが安い理由は、品質が悪いからではなく、病気に強くたくさん収穫できるという「農家の味方」であるためです。

そして、そのさっぱりとした食感と粒立ちの良さは、カレーや丼もの、お弁当といった特定の用途において、高級米を凌駕するほどの実力を秘めています。

「安い・うまい・使いやすい」の三拍子が揃ったまっしぐらは、まさに現代の食卓事情にマッチした、最強のコストパフォーマンス米と言えるでしょう。